第19回北東アジアOSS推進フォーラム 日本OSS推進フォーラム理事長としてサイオステクノロジー上席執行役員の黒坂肇が活動報告
2021年12月3日、第19回北東アジアOSS推進フォーラムがオンラインで開催されました。日本OSS推進フォーラム理事長を務めるサイオステクノロジー上席執行役員の黒坂肇が、企業の課題解決や産業界のDXにおけるOSS(オープンソースソフトウェア)の重要性を指摘しました。
テクノロジー2021年12月16日
日中韓におけるOSS先進事例を交えながら活動を報告
北東アジアOSS推進フォーラムは2003年11月、日中韓3カ国の経産・総務大臣会議に続く「日中韓オープンソースビジネス懇談会」における合意に基づき創設された会合です。翌2004年、中国・北京において第1回「北東アジアOSS推進フォーラム」が開催されました。
COVID-19感染拡大防止の配慮から2020年の開催が見送られた本フォーラムですが、今年は中国OSS推進連盟が運営の労をとりオンラインでの開催となりました。通算19回目となる本イベントでは日中韓それぞれのOSS推進団体が活動報告を行うとともに、OSS先進事例について各国の開発コミュニティや企業が発表、情報交換を図りました。このライブ配信は日中韓での視聴者が10万人を超える大規模グローバルイベントになりました。
ライブ配信では、経済産業省 商務情報政策局長 野原愉様がスピーチをしました。本フォーラムにおける日中韓での取り組みを高く評価するとともに、日本国における産業の発展と企業文化やビジネスモデルを変革するようなDX、そこでのOSSの重要性を述べました。また日本からの活動報告ではPostgreSQLエンタープライズ・コンソーシアム、ITサービス運用高度化にオープンソースの「Exastro IT Automation」を用いるNEC、個人のエンパワーメントを支援するオープンソースの分散型PDS(Personal Data Store)を開発するPersoniumチーム、そして世界初となる分散型プロトコルDev Protocolを通じてクリエイターと支援者の双方が経済的価値を得られる仕組みを社会実装するFRAME00(フレームダブルオー)のメンバーが講演しました。中国からはHuawai、Xiaomi、Ubuntu Kylinを開発するKylinsoft、Tencentなどのメンバーが、韓国からはKakao、Naver CLOVA、LG Electronics、Samsung Open Source Groupなどのメンバーが活動を報告しました。
企業や産業界の抱える様々な課題をともに解決する
2020年、日本OSS推進フォーラムは長年貢献をされた吉田正敏理事長が顧問となり、サイオステクノロジー上席執行役員の黒坂肇が理事長職を引き継ぎました。併せて、OSS推進フォーラムの活動方針を変更しました。その背景を本フォーラムで黒坂は次のように説明しました。
「OSSは今日の社会・産業が実現する価値を生み出す最も有効な手段でありキーテクノロジーとなりました。すでにOSSは何かの置き換えなどではなく、OSSが存在しない世界に戻ることは考えられません。OSSはソフトウェアやテクノロジーであると同時に、開発モデルです。日本OSS推進フォーラムはこれまでの普及啓発に向けた活動は一定の成果を収めたと考え、企業が抱える課題の解決や産業界のDX加速につながるOSS活用に向けたフォーラム活動を目指します」(黒坂)
企業はそのビジネス活動や経営戦略においてOSSおよび、OSS開発モデルをいかに取り込んでいくか。必要な人材、運営体制を構築するにはどうすればよいか、高度なスキルを有する人材の育成はどのように行えばよいか。新たな挑戦を迫られています。
「中国、韓国、日本。文化の違いや言語の壁があるのは否めません。一方OSSにはそれらの障壁はありません。国境を越えてさまざまな人が参画するコミュニティやコードがあり、共通の文化があります。各国における優れた知見を生かしながら企業や産業界の抱える様々な課題をともに解決する協力を今後も進めていければと考えています」と黒坂は北東アジアOSS推進フォーラムの担う役割に期待を寄せました。
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