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味方を見つけること、誰かの味方になること――より自分らしく生きるために #2

米国事業会社SIOS Technology Corp.で、プロダクトマネジメントのディレクターを務めるエイドリアン・クーリー(Adrienne Cooley)さん。キャリアにおいて重要な「Ally」や経験を重ねるなかでの気づきについて伺いました。

カルチャー2023年9月 4日

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キャリアにおけるAllyの重要性

―― 女性エンジニアとしてのキャリアを築くうえでのご苦労がたくさんあったと思います。そこで得た教訓はどのようなことでしょうか?
エイドリアン:キャリアを積んでいくと、自分では気づかない特性を見抜き、前に進む手助けをしてくれる人たちに出会います。そのような人たちを英語でAlly(アライ、味方)と呼びます。キャリアにおいて重要なのはAllyが誰であるか認識し、見つけることです。前職でプロダクトオーナーに挑戦できたのは、Allyとして手を差し伸べてくれた上司のお陰です。同時に、自分がAllyとなる相手を見つけることも大切です。何かを成し遂げるには仲間が欠かせません。

STCでも、さまざまなことにチャレンジしています。2021年にはプロダクトマネジメントのディレクターに昇進し、リーダーたちと一緒に戦略を推進するようになりました。私のキャリアでリーダーシップチームに所属することや直属の部下を持つことは初めてでしたが、思い切って「やります」と手を挙げてよかったです。周囲の温かいサポートとオープンなカルチャーが背中を押してくれ、大きな一歩を踏み出すことができました。

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米国事業会社SIOS Technology Corp. Director of Product ManagementのAdrienne Cooleyさん

互いに尊重し合い、一人一人が輝く社会へ

―― 立場が変われば、誰もがマイノリティになりますよね。
エイドリアン:そうですね。誰にでも起こりえることだと認識し、他人事だと思わないことが大切です。

不利に働くジェンダーバイアス、職場や学校でマイノリティであることは、自信を揺るがす原因になることもあります。私が工学部を卒業する頃には、入学時に比べ女性の同級生が減っていました。残念なことに、その傾向は今でも続いています。
マイノリティがサポートのない孤独な環境で何かをやり遂げることは困難です。不安にとらわれると、皆はできるのに自分だけできないという劣等感が生まれ、誰にも相談できず意欲を喪失しかねません。皆も自分と同じように悩んでいると分かれば、落ち着いて取り組めるはずです。助けを求めることや質問することを恐れてはいけません。誰かの助けを受けることは弱さではなく強さです。
女性やマイノリティ向けの政策は不公平だと言う人もいますが、それは彼らがただ一人、あるいは比較的一人でいることによる意欲の喪失を防ぐためのものだと私は思います。

―― 多様性のある組織になるための改善に向けたアドバイスなどありますか。
エイドリアン:私が読んだ統計をふたつ紹介したいと思います。ひとつめは、多様性のあるチームを作った場合、多様性のないチームよりも87%の確率で良い意思決定ができるというものです。さまざまな意見を聞くことが重要で、そうすれば最善の決断を下すことができるからです。自分と異なる意見を聞かなければ、異なる決断を下すことはできませんよね。もうひとつは、工学系の女性はエンドユーザーにとっての利益を重視する傾向が強く、男性は自分にとってどれだけ興味深いかあるいはどれだけ稼げるかを重視する傾向が強いというものです。ダイバーシティ思考がなぜ重要なのか、その思考プロセスを示している興味深い例ですね。

STCでは、女性社員のためのコミュニティを結成し、お互いの経験やアドバイスの共有、テーマを設けた討論会などを行っています。私はサイオスグループのSTEM*1部門にもっと女性が増え、女性がステップアップしていく姿を見ることを願っています。女性が自信を持てるよう手助けし、本人が望むステージまで成長できるよう支援したいです。リケジョのような言葉が必要ない社会になってほしいですね。

*1 STEM
科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、数学(Mathematics)の総称


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