顧客リコメンデーションのデータ基盤を「予期せぬ消失」から守るには
グローバル規模でビジネスを展開するガリバーインターナショナルには、事業戦略に柔軟かつ素早く対応するIT基盤が不可欠でした。クラウド環境における安定的なシステム運用をバックエンドで支えているものとは?
テクノロジー2015年5月11日
「外部共有ストレージなし」でフェイルオーバークラスタリング(WSFC)
中古車買取・販売ビジネスで新たな施策を相次いで打ち出すガリバーインターナショナル(以下、ガリバー)は2014年3月時点で、約30%の既存システムをオンプレミスからAmazon の提供する仮想サーバークラウドEC2(Amazon Elastic Compute Cloud)上に移行しました。その後も現在に至るまで、順調にクラウド上への業務システム切り替えを進めています。
「各店舗のエンドユーザーは、自分が使っているアプリケーションや画像などのデータが、オンプレミスとクラウドのどちらで動いているのか、まったく意識していません。」と、同社ITチームの月島学氏はこのように利用状況を説明します。
スムーズな移行を成し遂げた要因には、IT部門および業務部門の社員などのエンドユーザーがオンプレミス時代に行っていた運用オペレーションの内容・必要なスキルをほぼ変えることなく、クラウド環境にそのまま持ち越せたことがあります。むしろ移行前に比べて、新たな事業戦略や業務ニーズに応える機能、そしてサービスの追加・変更は、一層迅速になりました。
もともと同社では、データベースはSQL Server、WebサーバーはIIS、アプリケーション開発・実行環境は.NET Frameworkというように、主にマイクロソフト製品を組み合わせて業務システムを構築してきました。
ただし、クラウド移行にあたって懸念していたのは、高い可用性(HA)を維持することです。各店舗の顧客サービスに直結するシステムであるため、ビジネス時間帯の瞬断も、データの消失も許されません。
守りの要は、クラウド上のHAクラスターシステム
その備えとして、オンプレミス環境には、Windows Serverのフェイルオーバークラスタリング(WSFC)機能が不可欠でした。これは、稼動系サーバーに支障が起きても、待機系サーバーに処理を瞬時に引き継げるHAクラスターシステムです。しかし、WSFCはWAN越しやクラウド上での接続環境には基本的に導入することができません。そんな中――。
関心を持ったのが、リアルタイムにデータの複製を実現するソフトウェア「DataKeeper Cluster Edition」でした。DataKeeper Cluster Editionで作成したミラーボリュームは、WSFCの共有記憶域として登録・利用することができます。
これにより、WSFCを用いたフェイルオーバークラスタリングでも高価な外部共有ストレージを使わずに、なおかつ、システムトラブル直前までのデータを保護し、ただちに復旧可能なHAクラスターシステムをクラウド上に構築する選択が可能になったのです。
⇒株式会社ガリバーインターナショナル導入実績はこちらをご覧ください。