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日本OSS推進フォーラムとIPAが「OSS利活用事例セミナー」を共同開催【前編】

2024年5月27日、日本OSS推進フォーラムは、情報処理推進機構(IPA)と共催でセミナーを開催しました。テーマは、ビジネスをソフトウェアの力でどう変革するか。価値の創造や事業の変革に取り組む企業の事例を通じて、イノベーションの具体的なヒントを探りました。

テクノロジー2024年6月19日

日本OSS推進フォーラム(JOPF)は、オープンソースソフトウェア(OSS)を開発するさまざまなコミュニティとの連携などを通じて、活動に参加する企業ひいては日本の競争力強化やOSSによるイノベーションの促進に貢献しています。

講演に先立ち、JOPF理事長を務める黒坂肇(サイオステクノロジー 常務執行役員)が挨拶を行いました。

「20年前は、OSSとは既存のソフトウェアの置き換えを目指すもので、コスト削減、性能向上、ベンダーロックインの排除などが目的でした。
しかし、現在においてはOSSの採用が主目的となるわけではなく、『何かを実現したい!』『業務を、社会をこのように変化させたい!』『新しい事業を興したい!』といった目的があった上で、OSSはそれを実現するためのツールのひとつであります。

星の数ほどあるOSSというソフトウェアの良し悪しを見極めつつ、最良のソフトウェアを選択できるかということも大事ですし、OSS的な開発手法(オープンな開発文化)を取り入れていくということも大事です。最新のソフトウェア技術はその大半がOSSという形で世に出てくることも重要です。

本日は、そのような事業変革や業務改善を目指す企業様に登壇いただき、これまでの実績と今後の目標や理想についてお話しいただければと思います。是非皆様においても参考にしていただければと思います」

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左:日本OSS推進フォーラム 理事長 黒坂肇、右:独立行政法人情報処理推進機構(IPA) 今村かずき氏

「なぜ」という問いかけから始まるイノベーション

続いて、独立行政法人情報処理推進機構(IPA) デジタル基盤センター デジタルエンジニアリング部 ソフトウェアエンジニアリンググループの今村かずき氏が登壇し、オープンソースを「自分ごと」にすることの重要性を説明しました。

今村氏は、過去に起きたイノベーションの事例を引き合いに、イノベーションとは、「人を惹きつける魅力のある何か」を生み出すことではないかと指摘します。

「その何かとは、必ずしも市場調査で得られた結果とは限りません。自分自身の身近なことへのふとした気づきや疑問、興味など、つまり自分ごとの観察から見出され、それがOSSやソリューションの手助けにより形になっていきます」(今村氏)

今村氏は「自分ごと」を見つけるヒントとして、「WHY(なぜ)から始める」「意味のイノベーション」「手の内化」「おもしろい問題」の4点を挙げました。

「ある人の自分ごとから生まれた、人を惹きつける魅力のある何かは、また誰かの自分ごとを連鎖的に生み出します」と今村氏。既知の領域から未知の領域が拡がり、新しい価値を創造していくイノベーションは特定の人だけではなく、誰にでも起こせる可能性があることを示唆しました。

今村氏が所属するIPAは2023年7月、デジタル基盤センターを設立。ビジネスの基礎となるデータをしっかり作った上にサービスを構築し、持続展開させることを目指しています。またオープンソースの活用により日本企業の国際競争力向上を図る考えです。

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後編では、スカパーJSAT M&A・事業開発担当ディレクター 上垣健吾氏、合同会社SEEKER 代表 佐々木豊氏の講演をお届けします。

*本記事の内容は2024年5月時点の内容に基づきます。


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